北斎漫画/葛飾北斎


世界初、原寸色刷り全編復刻、ついに完成。
北斎が弟子用テキストとして描いた「絵手本」15冊を、原寸カラー復刻した決定版。モネやゴッホら印象派の若き画家たちが礼賛・傾倒した逸話は有名だ。キャラクターやイメージ創りの、またとないアイディア宝庫。
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とうとう、こんな本まで買ってしまいました。
こんな本ってことはないですね。しかし、高いです。
北斎漫画・背表紙辞書みたいな百科事典みたいな本でした。
装丁から何から。
そして中身も。
とても全部を丹念に観ることなどできません。
いや、私が怠慢なだけかもしれませんが。
にしてもホントにスゴイんだ、これが。
全部で3600景あるらしい。
森羅万象描ききったといってもいいんじゃないか。
だがしかし、北斎漫画でさえ、北斎の残したものの中のほんの一握りなんだよな、きっと。
まー、とにかく生き生きしている。
そういえば、北斎は動いているものの瞬間を描くのが好きだったのかもしれないなー。
有名な波のやつもそうだし。
好きというか、フツウには見えないものを描くというか。
だいたい、写真がない時代にこの描写。ホントにスゴイと思うな。
ユーモアもたっぷりだし。
この画像はハコの後ろ。
北斎の「ダルマ」と手塚治虫の「ピノコ」を並べてます。
手塚治虫が北斎を参考にしたかどうかはわかりませんが、似てます。
笑えます。
その上のおかしな顔を作ってる男も然り。
まさに、「まんが」ですなー。
値段は高いですが(これでも安いらしい)、これから先ずっと楽しめるような気がします。
観てて飽きないし。
ということで、このところのマイブーム、北斎でした。

黒猫/エドガー・アラン・ポー


そういえば、先日、エドガー・アラン・ポーの短編「黒猫」を読んだ。
iPadで何か読んでみたかったというのが大きな理由だ。
で、かなり短い小説で、かれこれ30年くらい前に読んだきり、だと思われた「黒猫」を選んだ。
ホントに短い小説ですぐに読める。
で、怖い。
これはけっこう怖い。
推理小説というよりはホラー。
淡々とした描写で、主人公の狂気を描いている。
薬物中毒、動物虐待、などなど、100年以上前の物語だけど、現代に通じるものも沢山ある。
人間、そうそう変わらない、よなー。
でもって、今の推理小説とかに影響を与えているフシもフシブシに感じられる。
ラストの主人公の言わずにはいられない台詞、性格など、もはやパターン化されているといってもいいくらい、かもしれない。
「黒猫」が原点かどうかはともかく。
ということで面白かった。
iPadでの読書も新鮮。
文庫本に比べればはるかに重たい、でかい、ってことを除けば、特に気になることもない。
新鮮、ってだけで本を読めるなら、それはそれでいい。ような気がする。
そうそう、忘れてた。
「黒猫」は青空文庫でダウンロードした。
青空文庫とは、「著作権の消滅した作品と、「自由に読んでもらってかまわない」とされたものを、テキストと XHTML(一部は HTML)形式で」そろえたもの。
今ではかなりの量の小説が揃っている。
アプリケーションは「i- books」。
複数ページあるPDFファイルも電子書籍の形で読める、とってもスグレモノだ。

海街diary

吉田秋生の「海街diary」シリーズの2巻、3巻を読みました。
面白い!
これは面白いなぁ。
比較的、淡々としたストーリーだし、奇を衒ったって感じもありません。
が、何より描写が丁寧。
物語の落としどころというか、ふっと心に入ってくる終わり方というか、すごく良いです。
登場人物の心の動き、台詞の一つ一つが沁みます。
  偽善者ってこういうことなんだ
  「嫌い」は「好き」より ずっと早く 伝わってしまうのかもしれない
  止まっていた時間は もうおしまい
これだけじゃさっぱりわからないと思いますが、こんな台詞が物語の要所要所でぐっとくるのです。
でもって、笑える場面もたくさん。ユーモラスです。
海街diary、1巻より、2巻、3巻とどんどん面白くなってきてます。
これはオススメだなー。

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃/吉田秋生


海の見える街、古都・鎌倉を舞台に清新なタッチで描く、家族の喪失と再生のものがたり。
吉田秋生が新境地に挑む、畢生(ひっせい)の感動シリーズ!
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久しぶりに本を読みました。漫画だけど。
2年以上前に買ったままになっていた吉田秋生の「海街diary 1 蝉時雨のやむ頃」。
私の一番好きな漫画家は吉田秋生。
その吉田秋生が今連載中のものなのかな。
で、「海街diary 1 蝉時雨のやむ頃」。
面白いです。
「Banana Fish」の頃より絵が柔らかくなったような気がしますが、これは描く世界が異なるからでしょう。
この絵も完璧に好みです。
三姉妹ともう一人の妹を中心に織り成すごくフツウの物語。
でもそこは吉田秋生。
キャラが立ってるし、ストーリーの運び方がうまくて面白いです。
登場人物それぞれが魅力的だし。リアルだし。
基本青春モノだし。
ちょっとしたギャグ?もよいのです。
それでいて泣けるんだな。
泣かそうとしているストーリーじゃないのに。
「お父さん きっと喜んでると思うわ」
「ほんとにありがとう」
のセリフのあとの描写が素晴らしいです。
これはぜひ映像化してほしいなー。
絶対、傑作になるはず。映像化にも向いてる作品だと思います。
って、もしかしてもうどこかで映像化されてるのかな?
それはともかく、2巻、3巻も楽しみ。

鴨川ホルモー/万城目学


このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒涛の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり。
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「鴨川ホルモー」読みました。
面白いです。怪作(言葉ある?)です。すごいです。
なんでこんな物語を思いつくのか、作者の頭の中をのぞいてみたい。
そんな気になります。
なんだか全てがばかばかしくて。笑えます。
いや、ばかばかしいとは褒め言葉です。
基本、青春です。これがまたよくて。
主人公のうじうじ感がたまらないです。
「物忌み」(無期限の引きこもり)の件などかなり共感。
読み終わった今、ふと考えると、オニとの絡みがなければもしかしてフツウのありきたりの青春モノのような気がしないでもありません。
でも、メインは「ホルモー」だもんなー。
メリハリも効いているし、後半にかけての盛り上がりも最高です。
読後感も抜群でした。
でもって、ちょっとした折りにでてくる「まさし」がツボでした。
にしても、ホントによくこんな小説が書けるなーと思います。
一度読んだら忘れようにも忘れられない物語です。

優しい音楽/瀬尾まいこ


駅でいきなり声をかけられ、それがきっかけで恋人になったタケルと千波。だが千波は、タケルをなかなか家族に紹介しない。その理由にタケルは深い衝撃を受けるが、ある決意を胸に抱いて一歩を踏みだした—表題作「優しい音楽」。つらい現実を受けとめながらも、希望を見出して歩んでゆく人々の姿が爽やかな感動を呼びおこす。優しさに満ち溢れた瀬尾ワールド全開の短編集。 (Amazon)
久しぶりに小説を読みました。
瀬尾まいこ、数年前にちょっとハマりました。
その頃発表されたものは概ね読んだかな。
シリアスな題材を、飄々とユーモラスにちょっと前向きに描くその作風が好きです。
で、この「優しい音楽」もそんな感じでした。
「優しい音楽」、「タイムラグ」、「がらくた効果」の3編。
どれも読みやすく、それぞれあり得ないような設定の物語です。
不倫相手の子供と一日を過ごすことになった女性のお話の「タイムラグ」、公演で拾ってきた?初老の男と1週間を共に過ごす「がらくた効果」、この2編が良かった。
「がらくた効果」が一番しっくりきたかな。
目線が優しいです。
素直というのはちょっと違うような気もしますが、捻くれてはいません。
読後感がよいのです。読みやすいし。
「幸福な食卓」や「卵の緒」ほどの感動はなかったような気もしますが、十分面白かったです。

斜陽/太宰治


去年の8月、RSRへ出発する空港で購入した太宰治の「斜陽」をようやく読み終えた。
「斜陽」を手にしたのには深い意味はない。
飛行機の中で手軽に読めそうな薄い文庫本を探していたら、たまたま目についただけだ。
結局、飛行機の中ではそれほど読めず、帰宅後もだらだらと時間が過ぎ、とうとう今日まで引っぱってしまった。
とはいえ、「斜陽」がつまらなかったわけではない。
これは面白い。
ストーリーの起伏があまりないので、間が空いてしまっても、続きを難なく読めるのだ。
「僕は、貴族です」
「斜陽」には印象に残る素敵な表現がたくさんあった。
角田光代を見倣って、おおっと思ったところのページを折りながら読んでいたら、折り目だらけになってしまったほどだ。
そのなかでも印象に残ったのが、最後の最後、主人公の弟の遺書の中の言葉だ。
すべての事象がこの言葉に集約されているような気がした。
没落貴族の家庭を舞台にした小説、といっても、正直、あまりピンとこない。
貴族と呼ばれるような方と接したことがないからだ。
たかだか60年ほどの前のお話だというのに、ずいぶん、世界は変わってしまったみたいだ。
小説の言葉から、イメージが拡大されていく。
いろんなことが頭を巡る。
それは、例えばロックの歌詞だったりもする。
 生きることばの速さがいいぜ (流れゆく君へ/泉谷しげる)
 人は嘘をつく時には 必ず真面目な顔をするの
 そんな太宰治のようなことを ポニーは真面目な顔で言う
 (こんなもんじゃない/真島昌利)
 しくじった しくじった (積木遊び/椎名林檎)
真の革命のためには美しい滅亡が必要。
という思いには共感はできない。言葉の上っ面だけを描いているようにさえ思える。
だがしかし、共感はできないけれど、理解はできる。
理解できるというよりは、一種の憧れなのかもしれない。
いや、滅亡とか自滅とか革命とかに憧れているわけでもない。
何を書いているんだかわからなくなってきた。
わからなくなってきたついでに、ますますわからないことを書く。
時代が時代なだけに、マルキシズムとか革命なんて言葉がホウボウにでてくる。
今の日本ではそんなことを大真面目に掲げるような光景はみられない(と思うんだが)。
が、実は、太宰治の時代なんかよりも、今の時代のほうがずっと社会主義的な世界であることは明白だ。
今の政治のもめ事のほとんど全てが社会主義的政策に絡んだものだ。
「斜陽」でいうところの革命は緩やかに進み、今に至っている。
そんな現代だからこそ、太宰の文章はリアリティを感じるし、まったく古くささを感じないような気がする。
と、わけわかんないことを書いてしまうでもなく、単純に「斜陽」は面白い。
この小説が発表されたときには大きな反響があったようだが、当時、「斜陽」はどんな風に読まれていたのだろう。
没落していく貴族に対する興味本位の読み方もされていたんだろうか。
それとも純粋に「文学作品」として捉えられ、読まれていたのか。
そのどちらもあったのかな、私がそう感じたように。

グーグーだって猫である/ 大島 弓子


その日、ペットショップのすみのケージでウトウトしていたひときわ小さく元気のない子猫。それがグーグーでした–。
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先月観た映画「グーグーだって猫である」の原作である大島弓子の漫画、2巻まで読みました。
エッセイコミックとカテゴライズされている(そんなのあるのか)ように、フィクションではない大島弓子と飼猫グーグーとの生活を描いたものです。
とっても読みやすく、また、面白いです。
映画では登場人物の描写がかなりの割合を占めていましたが、ここでは人間は著者である大島弓子しか基本的には出てきません。グーグーが主人公です。
昔、私の家でも猫を飼っていたことがあって、私も猫好きです。
猫は、何を考えてるのか、何も考えてないのか、本能だけで生きてるのか、こっちに気を使ってるのか、よくわからないところが何とも魅力的です。
なんだか、猫の前では何をやっても勝てないなという気になります。
一言で言っちゃえばとにかく仕草が表情が可愛いのです。
と、そんな猫の魅力が面白おかしく思う存分描かれています。
映画のストーリーとは微妙に異なってますが(2巻以降のエピソードにあるのかもしれません)、映画のなかで印象に残ったセリフは1巻にありました。たぶん、ほとんどそのまま映画に使われています。
  グーグーが長生きしますように
  病気しませんように
  事故にあいませんように
  この家の生活がたのしめますように
  そして天寿を全うしたら このわたしが グーグーを送ることができますように
最後の一行はさりげなく奥が深いよなぁ。
グーグーは著者にとって2代目の猫です。
猫のほうが人より寿命が短いけれど、映画でも原作でも著者は卵巣腫瘍で自らの死を意識する。
そんななかでこの一行。
猫に対するこれ以上ない愛を感じます。

さよならバースディ/荻原浩


サルだけが知っている愛する人の真実。彼女はなぜ死んだのか?目撃者は人と会話をするサル、バースディだけ。若き研究者が謎を追う長編ミステリー。
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購入後3年も寝かせていた荻原浩の本を読みました。
ミステリーといえばミステリーですが、ミステリーとして読むとあまり面白くないかもしれません。
死の動機の解明が一番の謎解きだと思いますが、明かされた謎も、それはちょっとどうかなという気がするし。Amazonのレビューもいまひとつって感じですね。
だがしかし、私は泣きましたよ。
ミステリーとしていまひとつでも、物語としてちょっと不自然な気がしても、展開がいまひとつ盛り上がらなくても(いや、ラストは盛り上がるか)。
それでも、良いのです。会話をするピグミーチンパンジーのバースディが可愛いのです。
たまらんなーという。
主人公の研究者とバースディのやりとり。これが私にはツボでした。
「君が僕を知ってる」の世界です。泣けますね。
面白かったです。
帯に印象的な文が載っていました。
バースディが不思議そうな顔で真をのぞきこんでくる。
真の顔を指さし、
自分の目に指を当てて、
それから文字盤を三つ叩いた。「まこ め みず」

うーん、これだけでぐぐっとキテしまいます。

図書館革命/有川浩


「図書館戦争」シリーズの完結編です。
昨年の11月頃に出版、すぐに購入、今年の4月頃に読んで、感想書かなきゃなーと思いつつ、今に至ってしまったって本です。
感想を書くのが遅れる理由には、あまりに感動してその感動をどう表現していいか途方に暮れるってパターンと、どうもいまひとつでめんどーだなぁと思ってついつい後回しになってしまうパターンがあります。この「図書館革命」は後者だなぁ。
といってもつまらなくはないです。というか面白いです。
シリーズ完結編としてよくまとめたなーという気もします。
ラストは想像通りだったけど、それ以外のラストはちょっと許されない気もするし、読後感も良いです。
たぶん、前3巻、特に1巻、2巻のパワーが凄すぎだったのでしょう。
今回も所々に考えさせられる言葉がありました。
「表現の自由」が、シリーズを通しての大きなキーワードですが、エンターテイメントなジェットコースター的ラブコメ的ストーリー(死語か?)のなかで、一貫としてこの重いテーマを正面から取り上げているところは凄いなと思います。
春先にアニメ化もされて、それも6話くらいまでは観たかな、なかなか面白かったです。
でも、やっぱり、実写で大真面目に映画化してほしいなと、今でも思ってます。