七瀬ふたたび/筒井康隆


七瀬ふたたび/筒井康隆(Amazon)
生まれながらに人の心を読むことができる超能力者、美しきテレパス火田七瀬は、人に超能力者だと悟られるのを恐れて、お手伝いの仕事をやめ、旅に出る。その夜汽車の中で、生まれてはじめて同じテレパシーの能力を持った子供ノリオと出会う。その後、次々と異なる超能力の持ち主とめぐり会った七瀬は、彼らと共に、超能力者を抹殺しようとたくらむ暗黒組織と壮絶なバトルを繰り広げる!
筒井康隆の七瀬シリーズ二作目「七瀬ふたたび」です。
三部作の中では、一番、SF色が強いというか、手に汗握る場面が多いというか。
どろどろ感は薄まってます。
ま、人の心のどろどろ感は「家族八景」だけで十分かな。
なもんで、かなり気楽に読めるような気がします。
それでも、超能力者が女性、黒人、子どもという設定がなんともミソな感じ。
迫害された、迫害されがちな立場になりやすい方々。
一方、超能力者を抹殺しようとする暗黒組織といっても、組織についての具体的な描写はほとんどありません。
フツウの人々の集まりなのでしょう。
ということで、やっぱ、この小説のテーマは「マイノリティへの迫害」であると感じます。
テレパスに限らず普遍的な物語。
硬派だけど俗。
そして驚きのラスト。
これはちょっと想像できなかったな〜。
群集心理というのか、ちょっと前の日本でも実際にあったこと。
それを思い起こしました。
いろいろなことを考えさせられ、それでもすごく面白い小説です。
筒井康隆、すごいなー。

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