エディプスの恋人/筒井康隆


エディプスの恋人/筒井康隆(Amazon)
ある日、少年の頭上でボールが割れた。音もなく、粉ごなになって。――それが異常の始まりだった。強い“意志”の力に守られた少年の周囲に次々と不思議が起こる。その謎を解明しようとした美しきテレパス七瀬は、いつしか少年と愛しあっていた。初めての恋に我を忘れた七瀬は、やがて自分も、“意志”の力に導かれていることに気づく。全宇宙を支配する母なる“意志”とは何か? 『家族八景』『七瀬ふたたび』につづく美貌のテレパス・火田七瀬シリーズ三部作の完結編。
筒井康隆の七瀬シリーズ三部作の最後を飾る「エディプスの恋人」。
「七瀬ふたたび」のラストで、あーなったはずなのに、何事もなかったかのように物語は始まります。
七瀬の恋物語みたいな感じで進みますが、どうにもなんとなく居心地が悪い。
とか思っていると、後半の怒涛の、地球どころか全宇宙まで広がっていくスケール感。
もはや、この世の仕組み、万物創世の仕組みまで解き明かしてしまうのではないか。
書き過ぎか。
それでも、そんな哲学的な小説でした。
そして、七瀬シリーズを半ば強引に終わらせる、みたいな。
なんなんでしょう、若い頃に読んだ時には、それほど衝撃を感じませんでしたが、筒井康隆の才気あふれる、とはこのことか、みたいな。
ちょっと理屈っぽい感じがしないでもないけど、人は人として生きてくしかないって終わり方が好きです。
にしても、すごすぎるぞ、七瀬三部作。
筒井康隆、すごいです。

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