映画「山椒大夫」

Sansho the Bailiff
Kenji Mizoguchi 1954
★★★★

森鴎外の同名小説を、八尋不二と依田義賢が共同で脚色し、溝口健二がメガホンをとった文芸作品。特に美術と撮影はレベルが高く、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した。美しいラストシーンは、ゴダールが「気狂いピエロ」において引用したことでも知られる。平安時代末期、農民を救うため将軍にたてついた平正氏が左遷された。妻の玉木、娘の安寿と息子の厨子王は越後を旅している途中、人買いにだまされ離ればなれになってしまう。玉木は佐渡に、安寿と厨子王は丹後の山椒大夫に奴隷として売られた。きょうだいはそれから十年もの間、奴隷としての生活を続けるが、ついに意を決して逃げ出すことにする。しかし追っ手に迫られ、安寿は厨子王を逃すため池に身を投げるのだった。
The Movie Database

映画「山椒大夫」を観ました。Wikipediaによると、「1954年3月31日公開。大映製作・配給の溝口健二監督作品。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得するなど、海外でも高く評価され、溝口の代表作のひとつとなった」とのこと。確かに、これは面白い。すごくよかったです。

森鴎外の小説が原作ですが、私は遥か昔に読んだような読んでないような。まーすっかりあらすじもわかってませんでした。なにしろ、山椒大夫って何だっけ?、安寿と厨子王、誰だそれ、みたいな。とはいえ、あらすじを知らなくてよかったかも、です。

ストーリーはけっこうシンプル。安寿と厨子王の波乱万丈、数奇な人生を描くと言ったところでしょうか。とはいえ、その大半は非常に過酷なもの。うっすらとはわかっていたつもりでしたが、奴隷としての生活の描写は厳しいものでした。で、緩急をつけた展開で、一気にラストまで。

このラストシーンがすごくよくて。ラストシーンだけではないのですが、とても映像が綺麗です。映像が綺麗というか、斬新というか。「ジャン=リュック・ゴダールが『気狂いピエロ』で再現したほど」というのも頷けます。

ともかくすごく面白い映画で、やっぱこの時代の代表作は勢いがあっていいなーとあらためて思いました。

そうそう、それと、香川京子がとても美しい、荘園領主の山椒大夫の極悪ぶりと役人との関係なんかが印象に残ってます。