本人vol.10


太田出版から発売された「本人vol.10」に、清志郎の特集が掲載されている。
スーパーバイザー「松尾スズキ」だし、山崎浩一(「愛しあってるかい」のディレクター)が「本誌だけが知っている忌野清志郎の素顔(=本人)を緊急特集。」ということだったのでかなり期待してた。
まずは表紙の清志郎、カッコいー。
和室が似合うロッカーって清志郎以外にいるんだろうか。
ほかにカラー9頁の写真。佐内正史氏による写真だ。
あまり笑顔のものはないけど、普段の清志郎という感じ。
けっこう不健康そうに写っていて、それがまたいい。芸術家みたいだ。
テキストは山崎浩一構成の「ロックで独立する方法 〜独立は「自由」か「面倒」か?」というものだった。
12頁のテキストは読み応えがある。
なにしろ、清志郎が真面目だ。
もちろん、編集したものだから、どれだけ真面目に清志郎がこの企画に乗ったのかはわからない。
が、これだけ真面目な清志郎は非常に珍しい。
内容は、大手プロダクションからの独立が大きなテーマだ。
清志郎はあくまでも一ミュージシャンの立場から独立を語っている。
様々なトラブル、例えば、君が代演奏禁止とか社長交代劇とかについて、実に真摯に語っている。
説得力があり、どれも頷ける。
とにかく音楽の世界も、何もかもが数字だけで計られる「数の論理」に支配されちゃってるからな。「オトナになる」っていうことは数字ばっかり数えるようになることかと思うくらい。ロックがビジネスになってきたプロセスも、結局いろんな価値が数字に変換されてきたプロセスだからね。
清志郎はインタビューに対して大概はとってもいいかげんに答えてる。と思ってる。
同じ質問に違ったことを答えているのなんてよく見かける。
じゃなかったら、「うーん」しか言わなかったり。
インタビューだけじゃなくて、例えば「君が代」や「タイマーズ」、これらの活動も単なる思いつきのように見える。
が、この「ロックで独立する方法」を読むと、それらがそれなりに必然性があったり、それなりに計算された行動だったのがよくわかる。
清志郎は冷静で、かつ行動的だ。
単なる思いつきだけのものではない。
と、ここまで書いてきたけど、この「本人vol.10」に掲載されているテキストは、2001年10月に発売された「Quick Japan Vol.39」に掲載されたものだ。
「ロックで独立する方法」は2000年12月発売の「Vol.34」から2002年2月発売「Vol.41」まで8回にわたって連載されていた。
その第一回には、この企画は清志郎が持ち込んだものであることが書かれている。
清志郎はタイトルだけもってきて、「つくってみたい本があるんだ」と言ってきたらしい。
もちろん、そのタイトルは「ロックで独立する方法」。
ここで展開されたテキストはとても刺激的で、どれもみな新鮮だった。
先日発売された「Rockin’on Japan」のインタビューよりも、もしかしたら上をいってるかもしれない。
それほど清志郎が真面目に取り組んでいるのだ。
今回の「本人vol.10」は、その8回のうちの一部だけ。
これはちょっと不満だ。
太田出版、「ロックで独立する方法」を本にしてくれたらな。
参考にその連載のタイトルだけ書いておこう。
Quick Japan Vol.34 第一回「わかってくれない世間が悪い」
Quick Japan Vol.35 第二回「歌われていないことは山ほどある」
Quick Japan Vol.36 第三回「バンドマンの夢と現実」
Quick Japan Vol.37 第四回「「業界」からの独立 前編」
Quick Japan Vol.38 第五回「「業界」からの独立 後編」
Quick Japan Vol.39 第六回「独立は「自由」か「面倒」か?」
Quick Japan Vol.40 第七回「「バンド」からの独立」
Quick Japan Vol.41 第八回「・・・・最終回」
これらの連載は、RC解散に対する清志郎のキモチや2・3’sのこと、ファンへのキモチ、曲創りなどが書かれていて、ホントに貴重なモノだと思う。
「本人vol.10」だけでも読み応えあるけどね。