映画「ジョーカー」

映画「ジョーカー」

Joker
Todd Phillips 2019
★★★★★

大都会の片隅で、体の弱い母と2人でつつましく暮らしている心優しいアーサー・フレック。コメディアンとしての成功を夢みながら、ピエロのメイクで大道芸人をして日銭を稼ぐ彼だったが、行政の支援を打ち切られたり、メンタルの病が原因でたびたびトラブルを招いてしまうなど、どん底の生活から抜け出せずに辛い日々を送っていた。そんな中、同じアパートに住むシングルマザーのソフィーに心惹かれていくアーサーだったが…。(The Movie Database

映画「ジョーカー」を観ました。2019年の米国映画、トッド・フィリップス監督、ホアキン・フェニックス主演の話題作です。

第76回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したり、予告編が非常によくできていて、否が応でも期待が高まります。その期待をまったく裏切ることなく、とても面白い映画でした。面白いだけでは足りず、傑作、だと思います。

重く、暗く、タクシードライバーに影響されたと言われている通り、狂気と混乱の映画。感動作ではありません。が、なにしろ物語が面白い。緊張が最後まで続きます。まーなんというか凄まじいエネルギーに満ちた映画でした。絶賛しちゃう。

主人公の行動は褒められるものではなく、というか、連続殺人犯だし。いくら現代都市、社会が悪いといっても、ぜーんぜん認められる類ではありません。讃えることもできないし、かっこいいとも思えないし、むしろ嫌悪感すら覚えてしまうような主人公。が、物語の最後の方、ゴッサム・シティの暴動のなか、パトカーのボンネットの上に立ち上がる主人公の姿に鳥肌が立つほど感動してしまいました。感動というか、口では言えない感情が湧き上がったというか。まるで、ゴッサム・シティの暴徒たちが主人公をヒーロー化したように、自分もその暴徒の一人になったというか。私的には、その場面がクライマックスでしたし、あのとき「JOKER」が誕生したのかなと思ってます。

と、ほとんど手放しで褒めちぎってますが、万人に受けるかというと、どうかなという気がします。今風?に言えば、やば過ぎな物語ですし。ギリギリの線をいってるなという、私でも、あとちょっと左右に振れたら嫌悪感のほうが勝ってしまうような気がする、そんな映画でした。