殺人狂時代

殺人狂時代殺人狂時代
チャールズ・チャップリンが、結婚詐欺と連続殺人をブラック・ユーモアで描いた異色作。大恐慌のために失業した銀行員・ヴェルドゥは、妻子を養うため、独身で裕福な中年女性に近づいて、結婚したところで殺害し、財産を奪うという計画を企てる。 Amazon
DVDでチャップリンの映画を久しぶりに観ました。チャップリンは、大好きといえるほど作品を観ているわけでもなく、かなり有名な作品であるこの「殺人狂時代」は初めてです。
ここでのチャップリンはおどけた道化師の姿からは程遠い、詐欺師、それも極悪といってよい殺人鬼を演じています。それでも、時折見せるチャップリン独特の仕草は笑えますし、ギャグも織り交ぜられていて、人を何人も殺しているにも関わらず、飄々と淡々と物語りは進みます。その辺りがちょっと退屈といえば退屈ですが、チャップリンらしい、下町の不幸な身の上の女性に思わず親切にしてしまう(というか、殺すのを止めただけですが)場面や、数年後にチャップリンが落ちぶれたときに、その娘が大金持ちになっているという、どこかで観たような光景が繰り広げられたりして、面白いです。ただし、その娘が大金持ちになったのは、軍需産業を営んでいる社長と結婚したからというところがミソです。
そう、私があえてここで書く必要もないほど有名なことですが、強烈な反戦の意図がそこにあります。物語の最初から最後までそれは貫かれていて、ラストの処刑場へ向かうチャップリンが語る言葉に集約されます。
「一人殺せば悪人だが、百万人殺せば英雄だ」
まぁ、あまり反戦反戦と叫ぶのは、日本ではタブーになりつつあるらしいので、そこはおいときましょう。政治的でもなんでもない映画だと思いますが、公開当時、アメリカではチャップリンに“共産主義者”のレッテルを貼り、各地で上映中止されたらしいですし。
映画として、単純に面白いと思いました。こういうストーリー重視というか、シナリオがちゃんとした映画が、やっぱり好きだなぁ。